SABU監督の蟹工船を見てきました。

今日は水曜なので1000円でした。もっと混んでいるかと思ったのですが、意外に空いていてちょっとショックでした〜。SABU監督のファンなので。。。私はまだ「蟹工船」の原作は読んだ事がないのですが、小林多喜二さんのことは何かの本で読んだ事があります。青空文庫で今度読もうと思っています。


で、映画の冒頭シーン(タイトルが始まる部分)は、いかにもザ・SABU監督って感じで好きでした。それから夢のシーンとか。でも途中からだんだんあれ?あれ?ってなってきて、あくびが出て、最後すーっと終わってしまいました。やっぱり、原作が名作とか偉大なものだと、なかなか監督らしさを出しにくいのかな。もっと楽しんで好きなようにやりたい放題で見せてほしかったです。


主演の松田龍平さんは、すごくいい役者さんでそれに惚れ込んでしまいました。西島さんは綺麗すぎて、鬼監督という感じではありませんでしたが、最後の「ざまぁ見ろ!」というセリフがよかったです。それから、いつも下北の駅前にいるマンガを読む長髪のメガネの人が出てましたね。とうとう有名人になっちゃいましたね。


でも、何となく缶詰工場(船ですけど)のシーンがリアリティさに欠ける感じがしてしまいました。私は学生の頃、お歳暮シーズンに石鹸工場で過酷なアルバイトをしたことがあるのですが、映画の中の人たちの動きがとても鈍い!鈍すぎる。まだまだ甘いなぁと思ってしまいました。


私の石鹸工場のアルバイトの話をしだすと止まらなくなるのですが、石鹸を指の間に4個づつ両手に挟んで、ベルトコンベアーから次々と出てくる箱の中に詰めていくのですが、一つの箱にかける時間は3秒から5秒で、延々と一日何千箱もしなければならず。。。自分は働きアリかと思いました。とても惨めな気持ちになります。もちろん「蟹工船」に登場する人々は、私なんかよりもっと過酷な労働を強いられたんだと思いますが、工場で機械のように働いていると、だんだん精神的にも追い詰められてくるという気持ちが起ることは確かです。


そんなことを思い出しながら、映画を見ていました。途中からあれ?あれ?となった理由は、大事な部分をセリフで説明するからです。変な中国人が突然出てきて、いかにも的なことを言ったり、若い労働者が突然逆切れして、もっともらしい事を言ったり。。。せりふの中ですべてを説明してしまう事に強い違和感を感じてしまいました。。。原作読んでないから何とも言えないだけれども。セリフでもっともらしいことをを言うと、残念ながらとても陳腐な言葉に聞こえてしまいますね。そんなことを感じました。

でもSABU監督も大好きだし、こういった文学作品を映画化したものを見る事ができて大満足です。一昨年にドイツ人と一緒にドイツで映画を作る予定だと言っていた作品がどうなったのか気になっているのですが。