新宿の末廣亭に行きました。

土曜日の夜は、深夜落語というのがあって500円で見る事ができるのです。
ずっと行きたかったのですが、なかなか行けず今日行ってきました。


落語というのを生まれて初めて生で見たのですが、一人で何役もこなすところが素晴らしいですね。映画とかテレビドラマでは、登場人物一人に対して役者が一人ですが、落語では一人で登場人物の全てと司会者(?)をすべてこなすというのがすごいなぁと思いました。切り替えの上手さが多重人格の人ってこんな感じなのかなぁなんて思わされたりしました。(全然違うと思いますが!)


今日は4名の方の落語を見たのですが、そのお話の登場人物や世界が観客の目に映るのが、上手な人なんだと思います。文楽を見ててだんだん後ろの人たちが見えなくなるのと感覚が似ています。どの人も最初に普通の話(導入)みたいなことをして、それで本番というか江戸時代風の語りの話をして、最後にオチがあって終わりという流れです。その導入と本番の切り替えの流れがそれぞれ違ったのですが、私は本番の話のテーマにそった内容の導入をした人が上手だなぁと思いました。「金は天下の回り物」というテーマの話をした人です。


それから、落語は男の人の世界だと思っていたのですが、最後に「講談」で女の人が登場しました。導入部分ではその人が落語家を目指したきっかけの話や、辛くても続ける事ができたエピソードなどを話してくれました。元々バスガイドだったその人は、28歳の時どうやったらお客さんを惹きつける話ができるかを研究したくて、落語を見て、それで入門をしたそうです。1年間に休みが3日間しかなくて、その3日間も師匠の家を大掃除したりするそうです。本当に辛くて辛くていつも辞めたいと思っていたと言っていました。で、その中でお世話になった師匠に対して「恩返し」をするには、お金や物をプレゼントするのではなくて、新しく入ってきた弟子を教育する事(叱る事や学んだ技術をきちんと伝える事)が、恩返しなのだと言っていました。


その女性の話の内容はとても面白かったです。ただ気になったのは、すごく語り(江戸の世界)に惹きこまれているときに、突然その人自身が登場するので、その江戸の世界から一気に戻されてしまう事がちょっと嫌でした。それが何度か続いて、多分それはその人のスタイルなんだと思いますが、私はそのまま江戸の世界に浸っていたかったので、何度も現実に戻されるのはちょっと苦手でした。話の内容が中断されるのもあまり好きではありません。


また、時々見に行きたいなぁと思っています。